中部山岳国立公園内『乗鞍岳』(3,026m)の東中腹に位置し『湯川』と『湯沢』が合流する深山の谷間にあり、古い湯治場の風情を残した温泉地です。人気の『上高地』にも近く、全国的にも有名な信州の温泉地で、その歴史は鎌倉時代までさかのぼります。地元の古文書によると『白船』『白舟』と書かれており、湯船の中が温泉の成分である石灰分のために白く結晶がこびりついたことから「シラフネ」と呼ぶようになったといわれています。その後、大正2年頃に中里介山の長編小説『大菩薩峠』の中で書かれたことから『白骨温泉』が一躍有名になり、そのまま呼ばれるようになったらしいのです。
なんと言っても、乳白色の湯と温泉らしい硫黄の匂いがすばらしい。ここの温泉は胃腸病に効果的な名湯として知られ、その効能は「3日入れば3年間風邪を引かない」とも言われています。この『白骨温泉 公共野天風呂』も自家源泉100%の掛け流し温泉です。既に“温泉疑惑”(※早く白い湯にするのに他の温泉地の湯ノ花を入れたが、温泉成分はほぼ同じなので許せる範囲と思う。かえって、全国の温泉地に警鐘を鳴らすきっかけになった)は解消され、前向きに対処しており「温泉地魅力アップに向けた取り組み」でも意気込みを示しています。
入口は『沢渡』方面からと『乗鞍高原』方面があります。ただし、冬期は雪崩の危険があるために『沢渡』方面は通行止めになります。『白骨温泉』の入口近くにある古民家風の門をくぐり、谷底まで急な階段を下ります。江戸時代の農家のような、木の皮で葺いた屋根の小屋が温泉施設です。この中に受付と脱衣場があって、男女とも内湯はありません。『白骨温泉 公共野天風呂』は水墨画のような岩壁と『湯川』を見ながらの野天風呂のみですが、シーズンには多くの人が訪れます。春夏秋冬ロケーションの良いところなので“雪見野天風呂”とシャレたいけれど、冬期は雪に埋まるので休業になります。
2005年11月上旬取材
2006年10月下旬再訪
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