『赤岳』(2,899m)を最高峰とする『八ヶ岳連峰』は『夏沢峠』を境に『北八ヶ岳』と『南八ヶ岳』に大きく分けられます。この一帯は火山地帯のため、多くの温泉が出ることに加えて、山麓は原生林と湖沼に恵まれている地域で、文献によると888年に『天狗岳』が大崩壊を起こし『松原湖』などの湖沼ができたと伝えられています。どこから見ても迫力ある眺望の素晴らしさと、四季折々に変わる魅力的な自然の景観は、多くの人々を惹きつけてやみません。
『夏沢鉱泉』は標高 2,060mの高所、八ヶ岳連峰のほぼ中央に位置しています。『硫黄岳』(2,760m)や『天狗岳』(2,646m)への最短登山口でもあり、前は夏沢渓谷の流れが爽やかで・高山植物やシラビソの豊かな原生林に囲まれ・遠く北アルプスの『槍ヶ岳』や『穂高連峰』を望むことができるロケーションの良いところに建つ山小屋です。
平成11年春に改築された2階建てで、エコハウス施設になっています。壁面のソーラーパネル・屋根の風力発電装置・合併浄化槽の設置でトイレも完全水洗化にした“山小屋らしくない山小屋”は当時、マスコミでも取り上げられたそうです。『夏沢鉱泉』で出す食材は残飯などを堆肥にしたものをで作った減農薬野菜とオーガニック野菜などのスローな食事で、自然派嗜好のお客様に喜ばれています。確かに山小屋の割には野菜が多くうまいのです。旅館の夕食のような雰囲気が漂う、しゃれた山小屋なのです。
鉱泉とは冷泉で、加温していますが、浴槽の隣にある源泉を見ると水量はそこそこありそうです。登山道を30分ほど登って『夏沢鉱泉』に近づくと、硫黄の匂いが漂ってきますが、風呂場ではわずかしか匂いません。源泉は透明ですが、沸かすと黄土色になるとのこと。日帰り入浴も可能で、男女別のレトロ感のある木の浴槽があります。
※鉱泉は、文字通りに意を訳せば鉱物成分を含む湧き水ということになるが、源泉1kg中に1g以上の溶存成分を含むか、あるいは本指針が示すある成分の一定量(物質により指定されている量は異なる)を含むかの、いずれかであればこれを鉱泉と呼ぶ。そのうち泉温が25℃以上のものを温泉と呼ぶ。鉱泉はこのほか液性(酸性、中性、アルカリ性等)・滲透圧(低張性、等張性、高張性)により分類される(環境省自然環境局「鉱泉分析法指針」による)
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